左岸族について

2020年10月結成

メンバー
才木典泰(俳優部)
本間盛行(主宰・制作部)

Self Portrait

(2秒で)
左岸族は50代のおっさん会社員二人で立ち上げた劇団です。

(少し詳しく)
ベースはそれぞれの身体です。一人は継続して演劇をしてきました。もう一人は30年ぶりに芝居を再開しました。演劇の経験と、ここまで生きて来ていやでも積み重なってしまった何かを、まずは認めて芝居に向かっています。テーマや手法や演出技法はその時々で変わります。ただ、おそらく、何かぶれずに劇場に立ち上がるものに私たち自身が出会い、お客さんに手渡せるよう作劇しています。

(もう一声)
才木典秦は巻き込む。本間盛行はエスカレーションする。

才木 典泰 

(撮影本間盛行)

座右の銘 「命短し恋せよ乙女」志村喬

1984-1988

学生劇団 神大自由劇場に所属
役者、作、演出を経験

1988-1993

劇団HEADWORK 劇団パランセなどいくつかの劇団で裏方を務める
並行してバンド活動など行う

1994-2000

一時芝居から離れる

2001

芝居復帰
縁あって大阪の劇団ヒポポクラテス公演で作演出を務める

2002-

劇団ヒポポクラテスでの役者出演
自作自演ひとり芝居の活動を始める  

2005-2006

仕事の都合で東京へ
劇団フーダニットで修業させていただく

2007-

大阪で自作ひとり芝居を中心に活動
居酒屋、ライブハウスなどでミュージシャンとジョイント公演なども行う

本間 盛行

(撮影才木典秦)

座右の銘 「巧言令色鮮し仁」孔子

1984-

北海道大学演劇研究会で芝居をはじめる

1988頃-

劇団東方的威風を旗揚げ、主に作・演出

上と並行して

プロデュースユニット「平面劇団」
詩朗誦「第六工場」
旗揚げ・公演
YHSやTPSなどへの出演
その他の劇団・集団での演出
劇評紙「Dramatic Imagination」編集
など

2002年頃-

演劇は観るだけ

2020年

左岸族立ち上げ

レパートリー

左岸族のレパートリーを紹介します

2021年

左岸狂言 鱒釣

原作:NHKラジオ「まいにちスペイン語(中級編)「昔話の世界へようこそ Cuentos populares」"La mujer del pescador"」
狂言脚色:本間盛行
言語時代監修:岡本一平

スペインの昔話をテキストに新作狂言を作りました。
鱒を9匹も釣った漁師は、近所のお住持さまに斎を振舞おうと女房殿に支度を御願いするが。

お子さんでも楽しめる狂言です。出張公演承り中。お気軽に問い合わせフォームからどうぞ!

さがんをゆくバスで

作:本間盛行、才木典泰

くたびれた男二人の乗ったバス。バスは冬の峠を抜け、どこに向かうのか
あれは誰の記憶で、これはいつの話なのかしら

カトクタイ

作:本間盛行 feat.才木典泰 feat.本間盛行

 土の上には床がある
 床の上には畳がある
 畳の上にあるのが座布団で
 その上にあるのが楽といふ
 ~山之口獏「座布団」
 
科学特捜隊にも座布団のような人がいるのよね。という軽演劇です

公演歴

左岸族の公演歴です

2021/4/11 於 門真市 ピーズカフェ

左岸狂言『鱒釣』 初お目見え

2021/9/5 於 大阪市中崎町 コモンカフェ

「さがんをゆくバスで」試演会 2ステージ
 
1st open 12:30/start 13:00
2nd open 15:00/start 15:30
after-conversation (交流会) 16:30 start
17:30 1st close 18:30 end
@ common cafe
(大阪市北区中崎) 

さがんをゆくバスで

[最新] コモンカフェで3ヶ月に一度、常打ちすることになりました。
さがんをゆくバスで、左岸狂言鱒釣、新作、劇作ワークショップなど。乞うご期待!

生きることに尊いも下らないもないんだ

2020/10 - 2021/9

路線バスが左岸を行く
知らない土地のバスはいつも不安で
窓の景色はピカピカに磨かれたみたく輝いて
で、どっちがあなたでどっちがわたしなのですか

すいません。ちょっといいですか?

  なんでしょ?

このバス、どこ行くんですかね?

 はい?

いや、このバス、どこ行くんでしょう?

 知らんと乗ってきはったんですか?

いや、このあたり慣れなくて、あってると思うんだけど。知らないバスってちょっと不安で。

 ドンツキまで

ドンツキ?

 ドンってぶつかって、そこで終いってことです。

はあ。

 いや、冗談ですやん。笑うとこ笑うとこ

はい。これはね。この景色はね。覚えがある。懐かしい気がする。
懐かしい?もう歌わないよ。
海みたいや思いません。
う海? 
ほら、畑。まだらに雪が残って、波みたいに見えませんか。
あ。波がしらね。
そ。動かへん波がしら、ですわ。
動かへん。。。あのさ、思い出と言えば、海でさ。
はい。
溺れそうになったことがあってね。
はい。

「アイスくおか」「せやな」「リウもくうか」「くうくう」アイスすぐとけてきて、汗とアイスのとけたんとまざって、喉のあたりつつつ流れてって、一瞬冷たいんやけどあとがべたべたして。三人でアイス食って。あ、あれあかんかったなあ!小学生やから、包み紙とかポイ捨てですわ。紙だけやない。棒もや。あれ、当たりありましたな。せやけど3人ともスカや。その棒もスナップきかせて、くるくるくるーほりなげて。そしたらね、ゲンにぃがね。突然走り出したんです。

潮が満ちてきてしもたんですか

          けどね全然大丈夫だと思ってた。何せ歩いて渡ってきたのだし、若干濡れるかもしれないけれど、すぐ帰れるだろうって。
戻らはったと。

          そうしたら。帰り道が分らないんだ。目の前に見える大きな島のどのあたりから、今立っている小さな島のどの岸辺にもどってきたのか見当もつかない。

構想 

 

2020年春 、何度目かの才木の一人芝居を鑑賞した本間が二人芝居の構想を思いつきました。当初、単発ユニット公演を考えましたが、パーマネントの劇団で作った方がいいようにも感じ、才木に打診。左岸族が結成されました。左岸族、はじまりの芝居がこの「さがんをゆくバスで」です。

戯曲

入口・出口は構想の段階で決まっていましたが、作劇に取り掛かる前に二人で様々な本を読みました。お互いがビビッドに感じいる戯曲の質感を確かめたのです。その後、起承転結の起と結を才木が、承と転を本間が執筆、読み合わせを繰り返し、浮かび上がってきた線をつないで、シナリオが完成しました。

作劇note

ある日の稽古より
才木「これは想像力でやったらあかん思うねん。うん。今日はちょっとそれが見えた」
本間「舞台って恥ずかしい、恥ずかしくないのラインがあるじゃない。そこを早いうちに越えてしまうのがよさそうやね」
また別の稽古より
本間「あ。確かに、今日は想像ではなかったな」
才木「うん。つかんだ気はする」

試演会のこと

試演会では生まれたばかりの劇がどんな空気を吸うことになるのか知りたいのです。そして、できれば見に来てくださった方と、この芝居のこと、演劇のこと、みなさんにとっての文化・芸術のこと、そんなことをお話ししたいです。

左岸族 presents

マヂカデミルゲキ#1

2021/12/12 Sun @コモンカフェ(大阪市中崎町)

 1st STAGE 13:00開場/13:30開演
2nd STAGE 15:00開場/15:30開演
2nd STAGE終了後、2カンパニーによるAfter Talkあり
Ticket 前売1,000円/当日1,200円
2ステージ通し券1500円(前売りのみ・2ドリンク付き)

マヂカデミルゲキ tweet >

無名劇団  

「宴-最古のパン屋(新作)」

VS

●左岸族

「カトクタイ(新作)/左岸狂言鱒釣」

大阪市内の2カンパニーが短編演劇を持ち寄って対バン形式で行う、ショーケースイベントです。
小空間で、ドリンク片手に、久しぶりの「目の前で人が演じる」に会いに来てください! 

▼チケットは参加カンパニー、もしくは、左岸族お問い合わせまで!

▼▼趣意・仕様書はこちら (10/29 v3 タイムスケジュールの誤りを修正)
▼▼▼制作日誌はこちら→ 

 

※ヒポポクラテスはよんどころない事情のため参加見送りとなりました。楽しみにしていたみなさん、ごめんなさい! 

無名劇団

 日本の近代文学をモチーフに現代社会を切り取る「無名稿シリーズ」
実体験をモチーフに日常の生き辛さに寄り添う「私戯曲シリーズ」を展開
 
2020年、西成・鶴見橋商店街の空き店舗を改装し、アトリエを開設
商店街とコラボし、劇場公開映画製作も行う

2021年11月21日よりアトリエ公演 「ここが西成、鶴見橋商店街」編を商店街で連続上演。この企画の隙間を縫って、マヂカデミルゲキ#1に参加

space×drama2015 優秀劇団選出 、2016年 ウイングカップ6 優秀賞受賞、 2017年度アイホール次世代応援企画break a leg参加

マヂカデミルゲキではカフェ空間を活かした新作会話劇を劇団俳優総勢5名で制作

左岸族

2020年旗揚げ、50代の男性俳優2名によるベリースモールカンパニー
2021年、「左岸狂言鱒釣」「さがんをゆくバスで」を制作発表。テーマや表現形にとらわれず作りたいもの、見せたいものを今ある身体で作劇する

マヂカデミルゲキでは、左岸狂言鱒釣コモンカフェバージョンと新作短編「カトクタイ」をお披露目

対話劇:らんげいじ(仮題)

2022.01~ 戯曲:本間盛行、才木典秦

さかいをこえる

匂いがします。埃の匂い。乾いた空気にカビの粒子が舞う匂い。この匂いに鼻が慣れて、この乾いた空気に肌が慣れたころ、私はここのコトバを知るのでしょうか。鼻が慣れて匂いが消えていく。その境目をかぎ分けることが私にはできるでしょうか?

歴史「を」学ぶ

S 歴史てね。僕らのためにあるわけじゃないですよね。
 僕らが正しくあるために歴史があるわけじゃないですよね。
H はあ
S 僕らが正しく生きるために織田信長やら源義経が生きたわけやないですよね。
H そら、べつにあんたのために織田信長がおったわけやないですけど
S ぼくのためにジンカスカンがおったわけでも、あんたのためにロベスピエールがおったわけでもない。
H そんなことは言わんでもわかります

空の底、城の北

2023年11月5日日曜日15時 大阪天神橋筋六丁目駅東改札、もしくは2番出口地上に集合
徒歩で移動(20分強)開演。上演45分。終演後移動17時半ころ天神橋筋六丁目駅で解散
小雨決行、荒天時は代替場所で屋内公演
(1000円標準投げ銭方式)


大阪城の東側、北側は、太平洋戦争のあと、かなり長い間廃墟だった。

戦中、この地には大阪砲兵工廠という東洋最大の兵器工場があり、戦争末期には米軍の空襲の最大の標的となっていた。戦後大阪の街が復興してからも、大阪城の近辺だけは巨大な廃墟としてのこされたままであった。

これは本当のはなしである。

大阪砲兵工廠の建物の多くは空襲により破壊されたが、「本館」と呼ばれた建物は1981年まで残っていた。

偽物の砂漠で二人は出会う

A: 砂漠みたいや
B: バクダンで出来た砂漠か?
A: 知ってるか?ほんまもんの砂漠には隕石が落ちてんねん
B: 隕石か?
A: そや隕石や。
B: 隕石は、ないやろな。
A: なんか落ちてたかて、それはがれきか人の骨や
B: そやな、全部、バクダンの、人間のしわざやわ
A: 砂漠の真似事や。
B: 真似事か。
A: ほんでもな。これから落ちてくるとも思うんや
B: 隕石か?
A: これから何百年も何千年もたつやろ、そんならひとつふたつ。いや、十や二十は隕石落ちて来るやろ。
B: 落ちてくるかもな
A: ほや、それはもう人間の争いごとと関係あれへん。なんや、宇宙の営みちゅうやつや。ほんでいつか、誰か、争いごとと関係ない誰かが、その隕石を拾うんや。
B: ロマンチストやな
A: ゆうとけ。
B: 骨な。
A: 何?
B: さっき「骨」ゆうたやんけ。
A: ゆうた。
B: 俺は人を焼いたよ。まだぷすぷすくすぶってた中で半分真っ黒く焼けて、ハエがたかっとった。

野犬狩りに失敗した二人はキタを眺める

B: 見せてみ
A: どやろか?
B: 噛んだあとには見えへんけどな
A: こわいわ
B: まあ、死ぬときは死ぬ
A: 水飲まれへんようになるんやろ
B: そう聞くわな。
A: あと、風もあかんらしいで。
B: 風?
A: 風も怖くてたまらんようになるんやて
B: 神経過敏か?
A: そうや。光も音も、外からの刺激が全部あかんようになって、叫びだすんや
B: わーっ!てか
A: そや。わーっ!てなんねん。
B: そうなったら殺したる。
A: え?
B: 治らんのやろ。苦しみだしたら、殺したる。
A: そうか。
B: 安心せい
A: 安心できるか
B: (遠くを見やる)明るいな。
A: あっちがキタか?
B: そうやわ。なんもなかったみたいにぴかぴかに輝いてるわ
A: 俺な。
B: なんや。
A: あのへんに女おるねん。

空の底で二人が語る

A: なあ。

B: なんや?

A: なんでこんなところに来たんや?

B: なんでって?

A: こんなとこ。普通の人間はこん。

B: 普通てなんやねん。

A: 普通は普通や。

B: ほな、まあ普通の理由やな。

A: またはぐらかす。

B: あんたはなんでや。なんでこんなとこ来たんや。

A: 質問してんのこっちやで。

B: そやな。砂漠ゆうてたよな。

A: うん。バクダンでできた砂漠や。

B: 砂漠ゆうたら空の底、みたいなもんやろ。

A: 空の底?

B: ほら、雲一つないあっおい青い空がひろがって、その底にあんのんが、砂で出来た砂漠やんか。

 空のドームに覆われた世界の底や。

A: そうか、砂漠は底か。

B: 俺はな、くそみたいなこの世界の底を見たかったんや。

A: 世界の底?

B: こんな世界、間違うてるやないか。

A: こんな世界て?

B: やっと戦争終わった。もうしません。二度と戦争しません。ゆうてその舌の根も乾かんうちに、隣の国で戦争始まりました。戦争のおかげで復興しました。ゆうてもっと儲けとおなって、いつの間にや知らん、絶対せんかったはずの戦争に片足ツッコんで、気が付いたら半身(はんみ)突っ込んで。人の不幸で飯食うて。

A: うん。

B: ほんで、そんなんおかしいやろ言うたやつ、片っ端から、こんな砂漠に放り込んで。前の戦争でできた偽もんの砂漠に放り込んで、からっからのミミズみたいになるまで閉じ込めて。やから俺はここがこの世界の底や思うんよ。何も生み出さん奴。文句だけゆうやつ。今何していいかわからん奴。そんな奴ばっかり集まってくる世界の底やよ。

A: そうや。俺もそれや。

B: どれや

A: 何も生み出さんと今何していいかわからん奴。

 

 犬の遠吠え