2/15 還暦定年記念公演 札幌(T様)
昨日、シアターZOOの舞台を拝見させていただきました。いずれも開始後すぐに引き込まれて、あっという間でした。素晴らしい時間をありがとうございます。アフタートークの斉藤歩さんとの出会いエピソードも興味深かったです。観客のほとんどが身内っぽくてアウェー感は否めませんでしたが、観られて本当に良かったです。
劇団東方的威風の本間盛行、という名前は以前から認識していたのですが、未見でして…、なぜあの時に観てなかったのか!と今さらながら後悔しております。
また札幌公演していただけることを強く希望します。お疲れ様でした。ありがとうございました。
(劇団注:「東方的威風」札幌で30代の本間が主宰していた劇団。劇団名はジャッキー・チェン『プロジェクトA』の主題歌より)
観客席から
ここでは劇団に寄せられたお客さんの声を紹介していきます。※画像は劇団準公式マスコット縫いぐるみ猫の「パイセン」
皆さんも左岸族の公演の感想・批評・辛口、今アマチュア演劇はどうあるべきか、左岸とは何か、縫いぐるみ自慢などなど「お問い合わせ」からお寄せください
2025/1/13 最新の記事をトップにし、この紹介ブロックは二番目に移動しました。下にこれまでの記事が続きます
10月5日 還暦定年記念公演其の壱 ご感想
2025/1/12
Written by Little
今頃で恐縮ですが、10月の公演の感想を少しお伝えしたいと思います。
何て書いたらいいのかなこの感想を、と考えていたりしました。
演劇をそんなに見てきたわけではないのですが、当たり外れがすごく大きいな、ということを思っていました。
音楽のライブでいくつかのバンドが出るとかであれば、苦手なバンドの時はちょっとライブハウスの外に出てればいいのですが、演劇は、一度劇場に入ってしまうと最後まで見なきゃいけないし。
けれど左岸族は本当にクオリティ高い!と思いました。
何というか、見せるし、聴かせるし、面白いなあと思います。
ゲンロン総会の配信で「鱒釣」を見て、まさか会社員をしながら演劇をされているとは予想だにせず、それでこのクオリティの舞台で、しかも自分で創作されているって!還暦って!!
私の知らない世界でした。何て豊かなことなんだろうと思いました。
それで、10月に実際に生で観たお芝居も、しっかりクオリティが高くて。
才木さんの一人芝居は、会社員をやりながらの俳優さんだなんて、とても思えなかったです。
情景や、詐欺師の女性の様子まで想像ができて、凄いなと思いました。
「カクトタイ2」は、それぞれの一人芝居とはちがって、また面白くて、タクヤさんは、立ち姿が本物やん!何者!と思ったので、アフタートークで、やっぱり習ってらっしゃるんだと分かって納得しました。
真未さんの太鼓の音も、普通ではない音でした。
急に異世界感が増して、パラレルワールドを観ているみたいな感じでした。
ちなみに、物語の中の才木さんの定年で静岡に天下りの話を本当だと思っていて、え、左岸族どうするの?と思っていました(笑)。遠距離で大変やなと(笑)。
本間さんの「Kudo」では、最後の方で、「私はすでに117個の臓器を提供しています」
みたいな台詞がありましたよね。その時に、「じゃあ今どうやってしゃべってるねんw」と、心の中でツッコミを入れたんですね。
その瞬間にすごくハッとして。
「え、じゃあ私はいまこれ、何を見てるの?」と思ったんです。
そんなことを考える瞬間があったことが、すごく面白いお芝居だと思いました。
このことをあとからも考えて、観ている方は、そんな風に目の前の芝居の世界に入り込むけれど、演じているほうは、自分の身体が演じているわけなので、そこから離れることはできないよな、それってどういう感じなんだろう、とか、考えたりしました。
何がどう面白かったのか、を表現するのって、とてもむずかしいのですが、左岸族の、その面白さに感動しました。
@easygoa46 Twitter(現𝕏)スペースでの感想トーク
ハニヒトリS2.52:
左岸族の芝居『左岸族狂言鱒釣』『カトクタイ』『空の底、城の北』の感想
さがんをゆくバスにゆられるこころの旅
yuuki
(2021/9/13 掲載)
劇団左岸族『さがんをゆくバスで』試演会を観劇した。
ひとは,強くこころを揺さぶられたとき,それを言葉に記したくなるものだ。それは,記憶を記録する行為であり,これほどの感動を忘れたくない(あるいは,この感動を他人に押し売りしたい)という願望のあらわれ。願望を叶えるために,私は自分のこころの奥を探る旅に出る。そして,その旅行記をさらすことになる。
そもそも,この演劇を観るために私は旅をした。こころの旅ではなく,リアルな移動を伴う旅だ。
このご時世,旅には多くの制約が課される。
出発の2日前にPCR検査を受け陰性を確認し,アルコールスプレーや除菌ウェットティッシュなどといった感染対策グッズをスーツケースにもハンドバッグにもつめる。どんなに対策して気をつけても,旅から帰ってきて感染したとなれば,たとえ旅が原因ではなくとも旅したことを非難されるだろう。
自らのワクチン接種(モデルナ)は1回目を終え,2回目の接種は2週間後。高校生の息子にいたっては,予約のめどすら立たない状況だった(その後,無事予約をすることができた。)。うちは,母子家庭なので,私が感染し運良く入院することとなると,息子はひとりで10日間の自宅隔離生活を送ることになる。もっと悪ければ,私が息子に移し感染した息子がひとり自宅療養するというケースすら考えられる。
正直,直前まで迷った。
誰にも言えず迷っていると,主催者である本間氏から,私がPCR検査を受ける前日に,左岸族のおふたり共がPCR検査の結果陰性であったこと,試演会を予定どおり開催するという連絡をいただいた。
左岸族は,やるという決断をした。
それに背中をおされ,私は行くという決断をした。
強い意思をもって決断するとき,そこには愛がある。
試演会当日,早朝ののぞみに乗り,午前中予定していた用事を済ませ,ホテルにチェックインしてから会場へ向かうことに。午前中の用事が押してしまい時間の余裕がないことに気づいたのはチェックインをしたあとのこと。でも大丈夫。事前にインプットしていた本間氏による道案内のおかげでこころの余裕を保ち,迷うことなく会場へたどり着くことができた。
このコモンカフェへの道案内『全き方向恩地のためのコモンカフェへの道のり』は,読みものとして面白く,もちろん道案内として完璧で,さらに試演会あるいは演劇への愛があふれているので,コモンカフェへ行く予定のある人もない人もぜひ読んでほしい。
会場に入る。本間氏と受付ぬいねこパイセンのほか知る人はいない。写真だけで知る才木氏に挨拶したいと思っていたが,見当たらず・・・
手持ち無沙汰なので,こっそりじっくり会場を視る。なんだか良い箱だなと感じたのは,演劇に対する愛がその空間を満たしていたからだと思う。
幕が開く。といっても会場に幕はない。あらじめ音楽が止まったらそのままはじまるというアナウンスがされていなかったら,どこから演技がはじまったのかわからなかったであろう,それほど自然に演技に入ってゆく。
というか,会場に入った瞬間から,幕開けに向かう仕込みがあったのだと気づいたのは,幕が下りたあとのこと。演劇は舞台の上だけで行われているのではない。役者,主催者と観客の距離が近い(箱が小さいという意味の距離ではなく)と色々なことに気づく。それがまたよい。
タイトルにあるように,演劇の舞台はバスの中。一律200円の路線バスに久しぶりに乗ることになったけれど,以前はよく乗ってたんだよねという程度の気軽さでバスのシートに座る男性。ここにもうひとりの男性が乗り合わせ,路線バスは,長距離バスか,はたまたミステリーツアーバスかという様相を呈する。
ふたりが自己紹介をして明かされる名を聞いて,以前,稽古で本を持ちよって読んでいるというお話を伺ったことを思い出す。ああ,ふたりで書いた脚本なんだなと感じ入る。その名に,ふたりの間のバランスの取り方があらわれているようにも思う。
演技のみどころは,才木氏のひとり三役長回しだろう。非常にセリフが多く,三人三様,くるくると変わる声音と表情の掛け合いは,すごい!のひとこと。そして,この三人を観ていると,だんだん『ちびくろさんぼ』のトラのように(トラは4頭だけど)三人がどろどろにとけて混ざりゆくような印象を受ける。私は何を観させられているのか。
一方,隣に座る本間氏の聞く演技。現在と過去,男性と少年を自在に行き来しているような,身体の動きと表情の変化から目を離せない。好奇心旺盛で愛らしい少年の魅力をはなつ聞き手がいればこそ,この才木氏の演技があるのだろう。
そして,対照的なおふたりがぶつかり合うユニゾンで舞台は最高潮に達し幕が下りる。かくして,トラバターは喪服の麗人となり,妖艶な姿を観たものの網膜に残したのである。
観客として試演会に立ち会うという幸運にめぐまれ,本当に素晴らしい旅となった。背中を押してくれてありがとう。
私は,少年と麗人に会うためにふたたび旅に出るだろう。
『左岸狂言 鱒釣』初公演の記錄(左岸族ホームページ版)
γ版・監修者 岡本一平
『左岸狂言鱒釣』本番前最終稿の監修をいただいた岡本さんからの記事です(PDF) →
(2021/8/24 掲載)